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駆け抜けた青い時、セピア色の日記と記憶
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1972年 春

hasukoi

…ずっとこのままでいたかった…小学校の校舎の屋根が見えてくると、虚しいような、悲しいような不思議な感情がこみあげてきて…いつまでも学校にたどりつきたくなかった…
「初恋はいつでしたか?」と聞かれると、私は「小学校2年生の時でした」と答えています。

答えは「初恋」というものをどう捉えるかによって違いますので、人それぞれなのだと思います。また、これは「生年月日はいつですか?」という質問とは異質で、その回答からその人の感性を垣間見ることができるようにも思うのです。

以下、私の初恋について記憶をたどってみます。

私の特定の女性に関する特別な感情は、小学校2年生の時に芽生えたと記憶しています。

あれは授業の工場見学の帰りだったと思います。学校から徒歩20分ぐらいの所に工場があって、そこへ複数のクラスが列になって歩いて行ったわけです。工場へ向かう時には男女が一列になって歩きましたが、しょせん子供の行列だったのですぐに列が乱れてしまい、先生は対向車が来るたびに生徒達に注意を促していたのでした。

そして、工場見学を終えて学校に帰る時に担任の先生がこういいました。「隣(女の子)の列と手を結びなさい!いいですが、手を結んで列を乱さないで歩きなさい。」と。とたんに生徒たちは「いやだ!いやだ!」の大合唱。

たしか生徒の列は身長順に並んでいて、私の隣はユカリさんという女の子でした。長い髪を左右ふたつに束ね、瞳が大きくてとてもかわいかったことを憶えています。

先生の指示に対して、私も周りの仲間と同様に「いやだー!」などといっていましたが、内心とても嬉しかったのです。だって、先生の命令で以前から気になっていた女の子と手が結べるわけですから。

その時、私は恥ずかしさもありモジモジしていたのですが、ユカリさんは「手をつなごうよ」と言って私の手をとり、ふざけた様子で結んだ手を大きく前後に振りました。私は彼女の大胆な行動に助けられ、とてもリラックスした気持ちになりました。そして、普段はあまり話したことのない彼女と無邪気な会話をしたのだと思います。とにかく、手をつないで歩いているだけでとても幸せな気持ちがしました。

しばらくして小学校の校舎の屋根が見えてくると、それまでとは違う虚しいような、悲しいような不思議な感情がこみあげてきて…いつまでも学校にたどりつきたくなかったのです。そして、この時私は彼女に特別な感情を持つようになりました。おそらく、以前から感じていた彼女に対するモヤモヤした感情が「人を好きになる」という状態なのだと認識したのでしょう。

しかし、その数ヵ月後、彼女は転校することになってしまったのです。(彼女のお父様がNHKに勤務しいていたため、引越しは初めてのことではないと聞きました)

クラスで彼女の「お別れ会」が催されて、彼女は私に「横浜のドリームランドの近くだから、遊びに来てね」と言ってくれました。しかし、そういわれても私はとても悲しくて、その時何と答えたか全く記憶がありません。

そして、ユカリさんが転校して数週間した頃、彼女からクラスメート宛の手紙が届いたのでした。担任の先生はみんなの前で手紙の封を開け、その手紙を読んでくれました。そして、手紙を読み終えると先生は「あれっ、もう1通入ってるな。ん、どうやらこれは…」とにやけた表情で、同封されていたもう1通の手紙を私に渡してくれたのです。

その後、クラス中はこのハプニングで大騒ぎになり、私は冷やかされたりもしながら、なんともいえない優越感と彼女へのいとおしさで胸がいっぱいになったのでした。ラブ

もう34年も前のことなのですが、あの時のことは今でも鮮明に憶えています。ユカリさん、ありがとう。私はとても嬉しかったのですよ。
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